役に立つオモシロ医学論文

対策をしていれば屋内イベントでも感染リスクにならない?

写真はイメージ(C)PIXTA

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、政府は各都道府県知事宛てにイベント(催し物)の開催制限や施設の使用制限などに関する事務連絡を発出しています。各自治体はこの事務連絡に基づいて、イベント開催時における感染対策上の留意事項を策定しています。

 とはいえ、多くの人が集まるイベントへの参加は、やはり感染リスクの心配がありますよね。そんな中、屋内イベントの感染リスクを検討した研究論文が、世界的に有名な医学誌「ランセット」の感染症専門誌版に2021年5月27日付で掲載されました。

 この研究ではイベントの当日に行われた抗原検査で新型コロナウイルス陰性が確認された1047人(平均33・6歳)が対象となりました。被験者はスペインのバルセロナで実験的に開催された屋内音楽イベントに参加する群と、イベントに参加しない群にランダムに割り付けられ、新型コロナウイルス感染症の発症リスクが比較されました。このイベントでは、会場施設内の換気、施設入り口での検温、参加者に対するマスク着用を徹底するなどの感染対策が実施されています。

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青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

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