今月21日、加藤勝信官房長官は新型コロナウイルスワクチンについて「長期の有効性データは十分に得られていない」と話した。ただしファイザー、モデルナ両社のワクチンは、「2回目接種後6カ月時点で、一定の発症予防効果が得られる」という。
飲食店や旅行の割引プランなど、65歳以上のワクチン接種者向けのサービスが目立つようになってきた。
もっとも、新型コロナウイルスのワクチン接種は人類初の試み。ワクチンの効果が、どれだけ持続するかも分からない。専門医はどう考えるのか。
【Q】コロナワクチンの有効期間は?
【A】「今のところ、ワクチン接種後のデータは世界でも8カ月分ほどしかありません。そのため、それ以上、たとえば1年間ぐらい予防効果があるかどうかは断定ができません。過去のインフルエンザワクチンなどの経験からいえば、新規のワクチンであっても、2回接種していれば1年ほどは持つのではないかと推定はできます。少なくとも今回2回打っておけば抗体はできますので、仮に1年後に接種が必要だとしても、その時は1回の接種で抗体ができると考えられます」
7月に接種しても、来年の春ごろにはまた接種が必要な可能性もあるのだ。
【Q】接種後に感染する例もある。抗体は何日後にできるのか
【A】「ファイザー社やモデルナ社のmRNAワクチンの場合、初回免疫(1回目の接種)で、1週間から10日後にIgM抗体(ウイルスや細菌に感染した時、一番最初につくられる抗体)ができます。ただし、それほど強い抗体ではないため、徐々に効果が下がっていきます。2回目のワクチン接種をすることで、IgG抗体(IgM抗体が生成された後に産生される抗体)ができます。これは初回免疫で得た抗体より10~20倍くらい強い。2回目は免疫がすでにできているので、ブースト効果(追加効果)によって、即座に強い抗体ができるようになっていて、接種から3日もあればIgG抗体ができるとみられています」
【Q】厚労省のHPにはファイザー社のワクチンは1回目から3週間後の同じ曜日に2回目を接種することになっている。過ぎたら効果がなくなるのか
【A】「ファイザー社は3週間後、モデルナ社は4週間後に2回目を打つのが最も効果的だと報告しています。ただし、過ぎたからといって1回目からやり直す必要はありません。千葉大病院などが実施したファイザー社のワクチンの検証結果は4週間あけた方が抗体が強いと報告しています。また、WHOなどは、6週間後までに2回目を接種することを目安としています。接種会場やかかりつけ医では、忘れてしまったり、接種期間を逃さないために次の予約をできる仕組みになっています。ある程度効果の認められた3週間と区切っているのでしょう」
新型コロナワクチンの疑問に答える