新型コロナ禍で何が起きているのか

新型コロナが流行する前にインフルエンザは大幅減少していた

ダイヤモンド・プリンセス号での感染で人々の関心が集まり始めた(C)日刊ゲンダイ

 インフルエンザが減った最大の理由は、われわれの感染症対策にあると言われている。全員がマスクを着用し、日に何度も手指を消毒し、密を避けるなどした結果、感染リスクが劇的に下がった。日本だけでなく、世界的にもインフルエンザが激減したことから、この解釈は正しいに違いない。

 ただし、1点だけ分からないことがある。それは2020年1月から3月までのインフルエンザの動きだ。実はその前年、2019年9月から年末までは、例年と同じパターンを描いて感染者が急増していた。ところが年が明けた途端、勢いを失って、以後は減る一方だったのである。

 2020年1月の段階では、新型コロナという言葉すら、世界的にも日本国内でもほとんど注目されていなかった。中国の武漢でちょっとした騒ぎになっていることが報道され始めたが、ほとんどの日本人は心配していなかった。武漢から邦人を乗せたチャーター機の第1便が帰国したのは1月29日だったが、そのことを憶えている人はほとんどいないに違いない。

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永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

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