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グルコサミンやコンドロイチンは関節の痛みに効くのか?

有効量含まれているものを飲む
有効量含まれているものを飲む

 グルコサミンやコンドロイチンに関して、変形性膝関節症・股関節症などの痛みの緩和に世界的に用いられているといった研究報告は多数あります。たとえば2000年に海外の有名な医学雑誌「JAMA」に掲載されたボストン大学の研究では「グルコサミンおよびコンドロイチンが変形性関節症の症状を緩和する可能性がある」と結論づけています。01年には雑誌「Lancet」に掲載されたベルギーのリエージュ大学、米ジョージタウン大学、英ロンドン大学などの研究においても、「グルコサミン硫酸を1日当たり1500ミリグラム内服したところ、変形性膝関節症の改善を認めた」としています。

 一方で、効果はない、まだまだ医学的根拠が不足している、と結論づけている報告も少なくありません。

 これまでの報告を総合的に考えると、現時点でのグルコサミンやコンドロイチンの膝関節痛・股関節痛に対する効果およびエビデンスはあまり強くなく、限定的と考えられます。それよりも、エビデンスがはっきりしている大腿四頭筋(太もも前面の筋肉)訓練などの運動療法や、肥満がある方であれば減量などを優先すべきといえるでしょう。

 ただ、補助としてグルコサミンやコンドロイチンのサプリメントを使用したいのであれば、「効果を期待できると考えられる量がしっかり配合されているか」を確認しましょう。たとえば、グルコサミン塩酸なら1日当たり1500~2000ミリグラム、N―アセチルグルコサミンなら500~1000ミリグラム、コンドロイチン硫酸なら1000~1200ミリグラム程度が効果を期待できる量(有効量)と考えられています。せっかくであれば、ちゃんとしたものを飲みたいですよね。一見同じように見えるサプリメントでも、「配合量を確認するとまるで別物」ということも多くありますので、注意しましょう。

▽河合隆志(かわい・たかし)1975年、愛知県出身。医学博士。日本整形外科学会専門医、日本抗加齢医学会専門医。東京医科大学医学部卒業。東京医科歯科大学大学院博士課程修了。愛知医科大学学際的痛みセンター勤務後、米国のペインマネジメント&アンチエイジングセンターほか研修。2016年「フェリシティークリニック名古屋」開院。原因不明の痛み、体調不良に対し、対処法ではなく痛みを根本的に治す治療を試みている。著書に「医者が考案した腰痛がラクになる『酸素たっぷり呼吸法』」など。

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