■インフルなど子供の感染症激減が理由か
第1波で患者が減ったのは、緊急事態宣言の心理的インパクトが大きかったこともあっただろうが、インフルエンザをはじめとする「子供がかかりやすい感染症」が激減したことが響いたからだと考えられる。実際、2020年3月(すでにインフル患者がほとんどいなくなっていた)の時点から、小児科では患者数が大幅に減り始めていた。小中学校のプールが閉鎖されたため、夏に多い咽頭結膜熱(プール熱)がほとんどゼロになったし、ほかにも手足口病、ヘルパンギーナ、RSウイルス感染症、ムンプスなどが軒並み大幅に減った。加えて感染性胃腸炎も過去10年間で最低の水準だった。つまりコロナ対策によって、子供の細菌性やウイルス性の病気が劇的に減ったため、小児科の需要も大幅に減ったというわけである。
耳鼻科は患者数が23.9%減り、医療費が21.7%減った。こちらも小児科とほぼ同じで、昨年3月から患者が急減し始め、今年1月まで回復していない。風邪などでは耳鼻科を受診する患者も多いので、小児科と同じような影響を受けたと考えられる。加えて昨年春は、スギ花粉が例年と比べて非常に少なかった。しかも6月までは在宅勤務の人が多かったおかげで自動車通勤が激減し、都会でも空気が驚くほどきれいになった。呼吸器系のアレルギー患者が減ったこともあり、耳鼻科の需要が大きく減ってしまったのである。
新型コロナ禍で何が起きているのか