最期は自宅で迎えたい 知っておきたいこと

最初は“他人”が自宅へ来ることに戸惑っていた患者さんが…

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 初めて在宅医療を受けた患者さんやご家族にとって戸惑うのは、それまで見知らぬ他人だった在宅医療スタッフが、ほぼ毎日のように自宅に訪れること。

 そんな患者さんやご家族の方とコミュニケーションをしっかりと取って不安や疑問を解決し、信頼関係をつくることも、私たち在宅医療スタッフの大切な仕事です。

 80代後半で奥さまと2人暮らしの膀胱がん末期の患者さんがいました。都内の自宅近くのマンションには息子さんが住んでおり、関西に住む娘さんが時折見舞いに訪れるという状況で、入院から在宅医療に切り替えたのでした。

 当初、奥さま、息子さん、娘さんは、訪問リハビリや訪問看護の区別もつかず、そもそもその必要性すら感じていなかったのでしょう。自宅に毎日見知らぬ在宅医療スタッフが訪れることに、ストレスを感じていたご様子でした。

 しかし、日が経つにつれて私たちの役割を理解していただき、やがてはご家族と、訪問看護スタッフ、在宅医療スタッフが一丸となって患者さんを支えながら、最期の時を迎えました。在宅医療を開始して、5カ月目のことでした。

1 / 3 ページ

下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

関連記事