前回、千葉市立青葉病院で起こった医療事故について取り上げました。2019年11月に左腕の肘関節手術を行った際、執刀した当時6年目の担当医が尺骨神経をメスで剥離する過程で、誤って神経を切断してしまい、患者に後遺症が残ってしまったというものです。その手術の際、立ち会っていたベテラン指導医が担当医のミスを見逃してしまったこともわかっています。
どのような過程で見逃しがあったのかはわかりませんが、同じように若手医師の指導をしている立場から考えると、やはり指導医も医療安全に関する認識に甘かった点があるのではないかと思われます。医療の質と患者安全を審査する国際的な病院機能評価機構であるJCIが基準として定める「SQE」(職員の資格と教育)に対応するような指導が行われていなかったのかもしれません。
そこで、われわれが実際にどのような手術指導を行っているのかについてお話しします。
上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」