科学が証明!ストレス解消法

ジョギングは長寿に関係なし 断トツに死亡率が低かったのは…

運動をすれば健康につながると考えがちだが
運動をすれば健康につながると考えがちだが

 厚生労働省によると、2019年の日本人の平均寿命は女性が87・45歳、男性が81・41歳と報告されています。世界トップクラスの長寿大国ニッポンですが、イギリスの医学雑誌「ランセット」には、「日本人はあまり運動をしないにもかかわらず、健康を保っている興味深い国」といった趣旨が説明されています。

 ともすれば、定期的に運動をすれば鬼に金棒――と考えてしまいそうなもの。では、一体どんな運動をすればいいのか。この点が悩みの種です。多くの方が、ジョギングやランニングが健康に良い、といったイメージを抱いていると思うのですが、気になる科学的エビデンスがあります。

 フィンランドのUKK研究所やスコットランドのエディンバラ大学などで行われたスポーツと健康の関連性を調査した研究による「ジョギングやランニングは、長寿に関しては有益ではない」という結果。

 彼らは、各種スポーツと死亡率の関係を調べ、どのスポーツが最も健康的なのか調査しています。サンプル採集は大掛かりなもので、1994年から2008年の間に行われた英国とスコットランドの年次健康調査のデータを分析し、合計約8万人の活動を調べました。

「ジョギング・ランニング」「サイクリング」「水泳」「エアロビクス・体操・ダンス」「フットボール・ラグビー」「バドミントン・テニス・スカッシュ」の6カテゴリーに絞り、「過去4週間に15分以上続けたスポーツは?」「どの活動で、どれくらい汗をかいたのか?」といった質問を設けた上で、各スポーツをしていた人の死亡率をリサーチしたのです。

 あくまで統計ですから断定はできないものの、「ジョギング・ランニング」を行っていた人は、他のスポーツを行っていた人と比較して「健康に有益」な結果が示されなかったそうです。

 では、統計的に有益と判断できたスポーツは何か? それが「バドミントン・テニス・スカッシュ」のラケット競技です。

 まったく運動をしなかった人と比べると、死亡率は47%も低かった。次点である水泳が28%低下ですから、断トツの結果と言えます。同じくラケット競技である卓球が、生涯スポーツとして広く親しまれていることを考えると、妙に腑に落ちるところがありますね。

 さらに、心臓・血管など循環器における疾患に限っていえば、ラケット競技は死亡率59%低下という有意なリスク低下が示されたほどです。対して、「サイクリング」「ジョギング・ランニング」は、循環器疾患の予防効果に関しては効果が薄いことも分かったそうです。

 なぜ、ラケット競技が循環器疾患に強く、長寿に良いか……といった点までは解明されていません。今後の続報が期待されます。

 テニスやスカッシュは場所を選びますが、バドミントンは気軽に始められるスポーツでしょう。休日に体を動かしたいと考えている人は、広々とした公園に足を運んで、バドミントンをするといいかもしれませんよ。


◆本コラム待望の書籍化!2022年11月24日発売・予約受付中!
『不安』があなたを強くする 逆説のストレス対処法
堀田秀吾著(日刊現代・講談社 900円)

堀田秀吾

堀田秀吾

1968年生まれ。言語学や法学に加え、社会心理学、脳科学の分野にも明るく、多角的な研究を展開。著書に「図解ストレス解消大全」(SBクリエイティブ)など。

関連記事