テレビ朝日系情報番組「グッド!モーニング」などで天気を担当する気象予報士の依田司さんが、新型コロナウイルスに感染した。6月24日に1回目のワクチン接種以降、高熱やだるさなど体調不良を訴え、当初は副反応を疑っていた。
【Q】無症状の感染患者が接種しても問題ないのか
【A】「このケースでは、接種した時点ですでに感染していた可能性があります。一般的に1回目のワクチン接種後、予防効果が出てくるのは6~8日以後です。無症状感染者がワクチンを打った際、ワクチンの効果はなく感染します。ただ、世界でもこうした例はあまり報告されていないでしょう」
【Q】新型コロナウイルス以外の感染症で抗体がある人が接種し悪化したことは?
【A】「エイズなどでは、すでに抗体がある人がウイルスを取り込むとマクロファージ(体内に侵入した細菌などの異物を食べる能力)が活性化するとされています。一方で弱毒生ワクチンは、ワクチンを受ける人の抵抗力が弱っていると、感染を招いてしまうリスクはあります。日本ではポリオウイルスの生ワクチンで、ワクチンを飲んだ後にポリオを発症する例が生じ、不活化ワクチンの注射に変更された歴史があります」
ファイザーやモデルナ社のmRNAワクチンは遺伝子情報をもとにしたワクチンだから、生ワクチンなどに比べればリスクは低いとされる。
【Q】世界での主流は「デルタ株」になっている。感染が再拡大している英国の国家統計局の統計(6月12日時点)によると人口の540人に1人が感染していて、そのほとんどがデルタ株によるものだという。デルタ株にワクチンはどう対応すべきか?
【A】「デルタ型、従来型、アルファ型(イギリス型)の3つの型の遺伝子情報を混合してワクチンをつくれば、ほぼ収束に向かってくると思われます。理論的には最も簡単な方法で、メーカー側もおそらく多くの症例を検討できるインドなどでそのⅢ相の臨床試験をやっていると考えられます。ウイルス感染症が減るほど、新たに発生する変異型も確率的には減少していくので、勢力は衰えると思います」
モデルナ社は、6月29日にモデルナ製ワクチンの2回目接種の1週間後に血漿サンプルを採取した研究で、南アフリカで最初に発見された「ベータ株」、「デルタ株」「カッパ株」などインドで確認された3種類の変異株に対し、中和抗体が生成されることを発表した。検証データの少ない初期段階の結果だが、明るい兆しも出ている。
デルタ株に感染した人の65%はワクチンを「未接種」というデータもあり、子どもや20代などの若い世代が接種し、接種後もマスクはすることなどの対策を講じれば、状況は抑えられる可能性が高い。
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