進化する糖尿病治療法

予備軍の中でも脳卒中・心筋梗塞のリスクがより高い人は?

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 食後の血糖値が高ければ、糖尿病予備群であっても、より一層気を引き締めて対策を講じなければなりません。日本では、75グラム経口ブドウ糖負荷試験の2時間値が高いタイプの糖尿病予備群の人は、「ボグリボース」というαグルコシダーゼ阻害薬0・2ミリグラムが保険適用になっています。この薬の糖尿病(2型)の発症予防効果は40・5%程度とされています。

 ただし、糖尿病と同様に、糖尿病予備群も、薬を飲めば万事OKではありません。生活習慣改善が不可欠です。フィンランド、アメリカ、中国、インド、日本などで行われた研究で、食事・運動療法や減量をきちんと行った人は、行わなかった人と比べて糖尿病発症リスクを29~67%下げられるといわれています。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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