新型コロナ 重症化を防ぐ最新知識

感染後に重症化しやすい人、死亡リスクの高い人の条件

納豆などの発酵食品にも注目
納豆などの発酵食品にも注目(C)日刊ゲンダイ

 新型コロナ感染症は感染力の強いインド株(デルタ株)の出現で新たな段階に入った。10代の感染者が目立つようになり、豪州では数秒すれ違っただけで感染したのでは、と疑われるケースの報道もあった。

 今まで通り感染しない努力は必要だが、感染しても重症化しないために何をするかも考えるべきではないか。

 それには、まず重症化とは何かを知る必要がある。

 新型コロナ感染症の典型的な経過は発症から1週間程度で治癒する軽症が8割、そこからさらに1週間から10日の間に肺炎症状が起きて入院する人が2割、さらに10日間以上経つ間に集中治療室に入る人が5%、そのうち2~3%が致死的状況に陥るとされる。重症とカウントされるのは集中治療室に入る5%だ。

 では、どんな人が重症化しやすいのか?

 5月26日公開の「新型コロナウイルス感染症診療の手引き 第5版」によると、入院後重症化する割合が高い傾向にあるのは「慢性腎臓病」「肝疾患」「肥満(BMI30以上)」「脂質異常症」「高血圧」「糖尿病」を持っている人。ほかに「65歳以上の高齢者」「悪性腫瘍」「慢性閉塞性肺疾患」「喫煙」「妊娠後期」「固形臓器移植後の免疫不全」「ステロイドや生物学的製剤の使用」「HIV感染症」が重症化のリスク因子だ。また、死亡の割合が高い傾向にあるのは「心疾患」「慢性肺疾患」「脳血管障害」「慢性腎臓病」の人だ。

 基礎疾患があって年齢が高いほど重症化リスクがアップする。具体的数値でも確認しておこう。

 60~64歳で基礎疾患のない場合の致死率は1・3%だが、基礎疾患があると3・9%に跳ね上がる。同様に65~69歳(1・7%↓6・4%)、70~74歳(3・3%↓7・5%)、75~79歳(4・9%↓13・8%)、80歳以上(13・9%↓21・8%)となる。

 なお、第22回厚生科学審議会(予防接種・ワクチン分科会)の資料では、重症化する割合は50代以下0・3%、60代以上8・5%、死亡する割合は50代以下0・06%、60代以上5・7%だ。

 運動習慣がない人も感染後に重症化しやすく、死亡リスクが高いとの報告もある。米国最大規模の健康保険会社の研究者が約5万人の加入者データを使い、運動習慣の有無と新型コロナ感染症による入院、集中治療室(ICU)入院、死亡リスクを比較。運動しない人は入院リスクが2・26倍、ICU入院が1・73倍、死亡リスクが2・49倍高かった。

 では、重症化や死亡リスクの高い人はどうしたらいいのか?

 まずは、ワクチンを積極的に打つことだ。ワクチンは感染予防の数値ばかり話題になるが重症化予防の数値も押さえておくべきだ。

 例えば、米ファイザー社製ワクチンの重症化予防効果は3月24日公開のイスラエル保健省による査読前論文がある。 

 10万人当たり1日の「重度および重大な入院」は、ワクチン未接種者が2・8人に対して2回接種者は0・3人。死亡はそれぞれ0・5人と0・1人だった。

 ワクチン以外の対策としては納豆などの発酵食品を取るのもいいかもしれない。長崎大学の研究グループはコロナ感染者から採取したウイルスを試験管内で培養。納豆などの発酵食品に多く含まれる天然アミノ酸「5―アミノレブリン酸(5―ALA)」を一定以上の濃度で投与したところ、ウイルス増殖をほぼ完全に抑えることを確認。同大学病院で特定臨床研究を始めている。新型コロナウイルス表面にある「スパイクタンパク質」に5―ALAの「最終産物」が付着し、ウイルスの人の細胞への侵入を阻むのではないか、と考えられている。

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