がんと向き合い生きていく

抗がん剤の点滴治療を受けた日に熱中症に見舞われて…

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 朝から日差しが強い暑い日のことです。再発した卵巣がんで治療中のCさん(50歳・女性)は、日傘を持って、帽子をかぶり、マスクをして、朝7時に病院へ向けて自宅を出ました。朝、歯を磨いた時に少し水を飲んだだけで、病院で採血することを考えて食事はとりませんでした。

 最寄りのA駅まで20分ほど歩き、電車に乗り、9時前に病院に着いて採血を待つ患者の列に並びました。

 採血が終わって約1時間後、担当医から結果を聞いて、予定通りその日に抗がん剤治療ができるかどうか指示が出ます。点滴治療で抗がん剤のほかに吐き気止めの投与もあり、1時間くらいかかります。

 問題なく抗がん剤の点滴が終わり、午後3時ごろにA駅まで戻ってきました。駅前にタクシーは見当たらず、強い日差しが降り注ぐ暑い中、Cさんは日傘をさして自宅まで歩くことにしました。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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