がんと向き合い生きていく

抗がん剤の点滴治療を受けた日に熱中症に見舞われて…

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 ふと考えてみると、朝、自宅を出てからは水も飲まず、何も食べていません。しかし、抗がん剤治療後の嘔気が気になって、飲食は自宅に帰ってからにしようと思いました。

 照り返す日差しは厳しく、風もない中を歩きました。途中、めまいと頭痛を感じましたが、ふらふらしながらそれでも自宅に着きました。

 部屋の中もものすごく暑くなっていました。すぐにクーラーをつけたのですが、ベッドに横になった途端に足がつってきました。Cさんは何度も何度も足をさすって、ようやく落ち着いた気がしました。

 熱があるように感じて測ってみると36・8度ありました。新型コロナワクチンの接種はまだ1回目が終わったばかりで感染が心配です。がんの持病があってコロナで亡くなった方、ワクチンを接種していても感染した人がいることをニュースで知っていたので、なおさらでした。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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