女性の不妊治療で何が行われているのか

不妊治療の大きな障壁 卵子の老化は止められない

半数は原因不明(写真はイメージ)/(C)日刊ゲンダイ

■原因不明不妊で最も問題なのが「卵子の老化」

 原因不明とされる不妊患者さんの多くが抱えている問題、それが「卵子の老化」です。日本産科婦人科学会の統計によると、女性の年齢が35歳を過ぎると妊娠率や出産できる割合は明らかに低下し、逆に妊娠されても流産となる割合が増加します。特に40歳を過ぎるとこの傾向はより顕著に表れます。これは「卵子の老化」が原因と考えられています。

 欧米ではすでに体外受精により得られた胚(受精卵)の染色体検査を調べる研究が行われています。その結果、女性の年齢が上がれば上がるほど、正常な染色体を持つ受精卵の割合は減り、特に40歳になると約10%以下にまで低下すると言われています。つまり40歳を超えると、たとえ10個の受精卵が得られたとしても妊娠し出産できるのはそのうちの1個あるかないかなのです。

2 / 3 ページ

小川誠司

小川誠司

1978年、兵庫県生まれ。2006年名古屋市立大学医学部を卒業。卒後研修終了後に慶應義塾大学産科婦人科学教室へ入局。2010年慶應義塾大学大学院へ進学。2014年慶應義塾大学産婦人科助教。2019年那須赤十字病院副部長。2020年仙台ARTクリニックに入職。2021年より現職。医学博士。日本産科婦人科学会専門医。

関連記事