女性の不妊治療で何が行われているのか

あなたの卵巣年齢は何歳?不妊の病院を訪れたら行われる検査

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「子供を希望しているのにできないが、どのタイミングで病院を受診すればよいか分からない」という声をよくお聞きします。

 女性の年齢が35歳未満なら不妊期間が1年、35歳以上なら半年を目安に受診することをおすすめします。ただこれはあくまでも目安であり、「生理周期が短くなっている」「生理周期が不規則」など何かしらの不安がある場合にはすぐに受診されることをおすすめします。

 初めて病院を訪れた患者さんには、まず問診でこれまでの経過をお聞きします。基礎体温が安定しない、ちゃんと排卵しているか心配など、ご自身で気になっている点やセックスの悩みなどもうかがいます。痛みでうまくセックスができない、膣内にうまく射精できないといったように、性交がうまく行かないために子供を作れないという方も少なくありません。看護師や心理士がカウンセリングを行っている病院もありますのでぜひ相談してみてください。

■卵巣年齢を表すAMHとは?

 問診が終わると、不妊症のスクリーニング検査を行うのが一般的です。その中で、卵巣機能を反映する「AMH(抗ミュラー管ホルモン)」というホルモンが広く測られています。これは発育途中の卵胞(前胞状卵胞)から分泌されているホルモンで、あとどれくらい卵巣の中に卵子が残っているか、いわゆる「卵巣年齢」を表すと言われています。卵子の数は加齢とともに減っていき、AMHも徐々に低下していきます。ただ個人差も大きく、中には20代の患者さんでも40歳後半のAMH値を示す方もおられます。

■不妊の検査は夫婦で

 不妊検査には、AMH以外にもホルモン値の採血や、子宮の形と卵管の通りを確認する子宮卵管造影検査、超音波で卵胞が育っているかを確認する排卵検査、子宮に入った精子がしっかりと運動しているかどうかを調べるフーナーテストなどがあります。これらはすべて女性側の原因を調べるものですが、不妊原因の半数は男性因子が占めており、女性だけが検査するのではなく男性も精液検査を必ず一度は行うことをおすすめします。

 不妊検査は一度にすべての検査を行えるわけではありません。それぞれの検査には適した時期があり、生理周期のどの時期に病院を受診されても、できる検査から進めていきます。それでも、すべての検査を終えるには約1カ月から1カ月半かかります。「不妊治療までは考えていないけど検査はしてみたい」という方には、ブライダルチェックと称して治療とは別に不妊検査のみを実施している病院もあります。

 もし少しでも不安がある場合には、そういった病院を利用して早めに検査だけでも受けてみるのもよいかもしれません。

小川誠司

小川誠司

1978年、兵庫県生まれ。2006年名古屋市立大学医学部を卒業。卒後研修終了後に慶應義塾大学産科婦人科学教室へ入局。2010年慶應義塾大学大学院へ進学。2014年慶應義塾大学産婦人科助教。2019年那須赤十字病院副部長。2020年仙台ARTクリニックに入職。2021年より現職。医学博士。日本産科婦人科学会専門医。

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