ワクチン接種後死亡556件で厚労省が「無関係」とした7例の中身

新型コロナウイルスワクチン接種の様子
新型コロナウイルスワクチン接種の様子(代表撮影)

 厚生労働省は7日の新型コロナワクチンの副反応を検討する合同部会で新型コロナワクチン接種後に死亡した事例556件を報告した。

 そのうち、ファイザー社製ワクチンを接種して7日目に死亡した80歳女性について、初めて「因果関係が否定できない」と認めα評価を下して話題になったが、実は今回の報告でファイザー社製ワクチンでは通算7件が「β」となっている。

 ワクチン接種の因果関係評価結果は、「α」(ワクチンと症状名との因果関係が否定できないもの)、「β」(ワクチンと症状名との因果関係が認められないもの)、「γ」(情報不足等によりワクチンと症状名との因果関係が評価できないもの)に分かれている。平たく言うとβはワクチン接種とは無関係ということだ。

 では、どんな事例がβだったのか?

①88歳男性で4月21日に1回目の接種を行い、5月1日に亡くなった。報告書上の死因は誤嚥性肺炎と客痰による窒息で報告医評価では評価不明としたが、専門医の評価では誤嚥性肺炎はβでその他はγとした。

②5月21日に接種した77歳男性は翌22日に死亡。発熱後ゼリー誤嚥により窒息。窒息・誤嚥にはβ、発熱はγ。

③89歳男性。5月24日に1回目接種し、翌5月25日死亡。30代で左肺結核を患い、高血圧、前立腺がん、心房細動、心不全の基礎疾患があった。報告書上の死因は心肺停止。報告医はワクチンとの因果関係について評価不能。専門家は他要因の死因との因果関係を「有」とし、前立腺がんを上げた。

④93歳男性は5月27日に1回目の接種を行い、6月2日に死亡。高血圧の基礎疾患があり、報告医の死因は腹部大動脈瘤破裂。接種との因果関係は評価不能とした。その後専門家は、この男性が4年前に48mmの腹部大動脈瘤が発見され経過観察中であり、10カ月前に瘤が1㎝に増大していたことを突き止めた。その結果、いつ瘤が破裂してもおかしくない状態と認定。ワクチン接種とは無関係でβとした。

⑤81歳女性は、5月31日に1回目を接種。6月3日に亡くなった。糖尿病の基礎疾患以外に右側に乳がん手術歴があった。報告医は心臓死と判断。ワクチン接種以外の因果関係有りとして高血圧と2型糖尿病を挙げた。専門家はワクチン接種との因果関係について6月23日以前はβとしたが、7月7日では高血圧についてはβ、心肺停止及び心臓死はγとした。

⑥86歳男性は、5月24日に1回目接種して5月28日に亡くなった。認知症、2型糖尿病、低アルブミン血症、貧血があり、1月から誤嚥が強く低栄養だった。報告医は死因等について不明としたが、ワクチン接種以外の要因として誤嚥性肺炎を挙げた。専門家はその後、誤嚥は原病とはいえず、肺炎は他の要因の可能性がある、と判断。誤嚥性肺炎と呼吸停止をβ、血中ブドウ糖の減少をγとした。

⑦87歳女性は5月24日に1回目を接種。6月8日に亡くなった。部大動脈瘤の手術歴があり、高血圧、両側下肢閉塞性動脈硬化症、陳旧制心筋梗塞の基礎疾患があった。報告医はワクチン以外の他要因の因果関係として胸部大動脈解離を挙げ、ワクチンとの因果関係は評価不能とした。6月23日までの専門家の評価はγだったが、7月7日時点では大動脈乖離をβとした。

 なお厚労省は今回の報告でファイザー社製について「α」1件、「β」7件、「γ」451件とした。モデルナ社製については2件の死亡事故のうち94歳男性のケースではγ、55歳男性は評価中となっている。

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