進化する糖尿病治療法

受診中断理由で多い「忙しい」「病院が遠い」「経済的負担」

 一方で、日常の動線上ではなくても、好きな映画館や本屋、アパレルショップなどが近くにある医療機関なら、「帰りにあの店に寄ろう」と思え、それが通院のモチベーションアップにつながるかもしれません。

 ただし、医療機関を替えるときは、現在の主治医に相談してから。新しく通う医療機関への情報伝達が行われ、治療がスムーズに引き継がれます。「今の主治医に悪くて言い出せない」と考える方がいますが、医師が最も危惧しているのは治療の中断ですので、治療継続のための転院には真摯に対応します。

 医療費が経済的に負担である場合は、より薬価の低い薬やジェネリックに変更するという手もあります。経済的な話はなかなか口にしにくいと思いますが、そこはぜひストレートに言っていただければと思います。

 なお、「薬の数が多くて飲めない」という場合も相談を。現在、糖尿病薬は種類が多く、合剤なども出ているので、その患者さんにとって飲みやすい薬に変更することができるかもしれません。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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