つい最近、奥さまを乳がんで亡くされたAさん(67歳・男性)のお話です。
奥さまは手術を受けてから5年間、闘病を続けていました。背中に痛みがあって入院され、およそ1カ月が経過して少し痛みが治まってきたところで亡くなられました。
Aさんは、まさかこんなにあっけなく亡くなるとは考えてもいませんでした。担当医から、骨や肝臓などへの転移があることは聞いていましたが、詳しく説明されていたわけではありません。コロナ禍もあってか面会時間が制限されていて、奥さまとはそれほど話も出来ませんでした。
亡くなった後、担当医から「がんが高度に進行した状態だった」と説明されましたが、Aさんには何だか言い訳がましく聞こえました。
「それにしても、もっと看病をしてあげたかった。痛い背中をさすってあげたかった。何も出来なくとも、もっとずっと病室にいてあげたかった」
がんと向き合い生きていく