米製薬大手ファイザー社は今月、2回の接種を済ませた後の6~12カ月以内に3回目の接種が必要になることを示唆した。効果が落ちるためで、実際、人口の6割が2回の接種を終えたイスラエルでは、変異株による感染拡大を受けて、成人を対象に同社製のワクチンの3回目の接種を始めると表明している。
米ファウチ大統領首席医療顧問は、ブースター(追加免疫)について「不要」としているが、イスラエル保健省は、ファイザー製ワクチンの発症予防効果が94%から64%に下がったと研究結果を公表した。
【Q】3回目のブースターは意味があるのか?
【A】「免疫学の観点からすれば、ブースターによって抗体を主とする免疫が4~5倍高まると考えられます。ただし3回目は、これまでの2回と作製方法が異なるワクチンを打つ方が効果と報告されています。同じメーカーのワクチンでは抗体ができているので、新規のワクチンを接種する方が高い効果が得やすい」
一方、違うワクチンを打つデメリットはない。英国の「Com―Cov臨床試験」に関する研究結果によると、ファイザー製またはアストラゼネカ製のワクチンを2回接種した人も両ワクチンを1回ずつ打った人も、すべての組み合わせで十分な免疫が作られることが分かっている。
【Q】ファイザー製やモデルナ製のmRNAワクチンを2回接種した日本人の3回目は、どこのメーカーがいいのか?
ファイザー製やモデルナ製のmRNAワクチンを2回接種した日本人の3回目は、どこのめーかーがいいのか?
【A】「国内で承認され、現在審議中ですが、学術的にはアストラゼネカ社のウイルスベクターワクチンを追加免疫することで高い効果がみられると考えます。すでに論文も出ています。アストラゼネカ製のワクチンは免疫原性(抗原などの異物が体内で免疫応答を引き起こすこと)が強く、抗体を強化するのに適しています。もし、国内産を考えるなら、22年度中の実用化を進める第一三共と東大医科学研究所が開発したmRNAワクチンでしょう。同じmRNAでもファイザー製やモデルナ製と違い、スパイクタンパク質全体ではなく、そのうちのヒトの細胞に結合する部位のみのmRNAを使っているようです」
【Q】64歳以下の一般接種も2回目を控える人が増えている。2回目の方が、副反応が出やすいといわれるが、解熱剤は市販薬で問題ない?
【A】「主な副反応は発熱と頭痛ですから、個人病院での接種の場合、カロナール錠、ロキソニン錠、セレスタミン配合錠などをその場で処方してもらえます。大規模会場でも、接種してくれた医師や看護師に『1回目に熱っぽかった。だるかった』という相談をしてみましょう。処方の手だてをしてくれる可能性があります。市販薬はバファリンやノーシンでも多少は対応できます」
熱が下がらなかったり、体調不良が続けば接種していない病院でもよいので、診察を受けることだ。
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