進化する糖尿病治療法

血糖コントロールが悪い糖尿病患者は歯周病発症率が2.6倍高い

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 また、歯周病の炎症が続くと、歯周病菌や歯周病菌の出す毒素が血液中に入り込み、血管内で炎症を起こし、血栓(血の塊)を生じさせます。血栓は動脈硬化を促進し、狭心症や心筋梗塞、脳卒中のリスクを高めます。

 最近は、認知症のリスク因子にも歯周病は数えられています。歯周病菌や歯周病菌の毒素は脳の血管にも影響を及ぼしますし、歯周病で噛む回数が減れば、それだけ脳への刺激も少なくなります。糖尿病も認知症のリスク因子ですので、ダブルで認知症を起こしやすくなります。

 本来は、糖尿病と歯科が連携で治療を行えればいいのですが、そういったシステムが整っている医療機関は多くはありません。口腔ケアは、ブラッシングを主とした自分で行うセルフケアと、歯石除去など歯科医院で行うプロフェッショナルケアの両輪で行わなければ、十分な結果は得られない。糖尿病の主治医でも、重要とわかっていても歯科受診の勧めはおろそかになりがちです。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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