がんと向き合い生きていく

若者は人間の「生と死」を考えることに飢えているのではないか

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

■学生たちからの感想文を読んでみて

 そんな講義の10日後に届いた学生からの感想を抜粋します。

「生きていることができている、それがどれほど価値があることなのか、心が震えました」

「心の底から死に向き合い、患者にとって支えとなったり、安らぎとなったりする言葉をかけられる医者に私はなれるだろうか。この疑問に医者になってから気づくのと、学生の間に考え始めるのとでは大きな違いがあるだろう」

「人間はどんな状況でも心のどこかで生きたいと思っている、というお考えは自分にとってはすごく新鮮でした」

「私は今まで、命や生死についてよく考えてきた。でもこの話題は重くて、友達や家族と話すことはなかなかできなかった。だから先生がいらしてみんなで命について考えた時間はとても意義深く、尊いものだと感じた」

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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