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疑問だらけ…日本の新型コロナ水際対策、実体験リポート

海外選手団の入国、本格化(羽田空港に到着したドイツのボクシング選手団関係者)
海外選手団の入国、本格化(羽田空港に到着したドイツのボクシング選手団関係者)(C)共同通信社

 これを書いている時点で東京五輪開幕まであと1週間、この小文が出るまで何が起きているか予測もつきません。そんな中、たまたまこのタイミングで日本に一時帰国する必要があり、日本の水際対策を体験することになったのでリポートしようと思います。

 その厳しさは飛行機に乗った時点から実感しました。定員200人以上の座席のうち埋まっているのは30~40人にもかかわらずエコノミーは「売り切れ」。旅行代理店の話では、入国できる人数が厳しく制限されているからとのことでした。

 さて羽田空港に到着すると、あらかじめ機内で記入していた健康カード、誓約書などの多くの書類とともに、入国前72時間以内のPCR陰性結果の証明書を提出します。これがなかなか厄介で日本政府が発行した書式に記入してくれるアメリカの医療機関は限られ、通常は無料の検査に書類だけで3万円もかかりました。

 続いて入国後の検査の後にはまだまだ次が。いま世界のほとんどの場所から日本に入ってくる人は、検査が2回連続陰性でも2週間の自宅等待機(自主隔離)が求められます(同じアメリカでもデルタ株が広まっている州からだと、最初の3日間は政府が指定するホテルなどで隔離)。その間、スマホにダウンロードした位置情報アプリで常にチェックされ、毎日午前中にメールで届く「健康チェック」に数時間以内に応答。自宅にいるか確認するビデオ電話も頻繁にかかってきます。

 ここでひとつ不思議なのが、私は今年3月にワクチン接種が完了しているのに、それに関しては何も聞かれないこと。ヨーロッパなどでは、入国にワクチン接種証明の提示を求められる国もあるのですが、五輪選手の2割がワクチン接種をしていないので、それに合わせたのでしょうか? ちなみにアメリカは成人の68%が1度目のワクチンを接種していますが、入国には72時間前の検査が求められるものの隔離はありません。

 成人の1度目のワクチン接種率が30%という緊急事態宣言下の日本で、ワクチンと2度の陰性でも2週間自宅等待機という厳しい水際対策……。ほとんど自粛要請に頼っている日本国内の感染防止策に比べて、大きなギャップを感じました。

 また、五輪関係者の入国は特別扱いというのも、私の予定は五輪ほど重要ではないと言われているようで、いまだに不満です。

シェリー めぐみ

シェリー めぐみ

NYハーレムから、激動のアメリカをレポートするジャーナリスト。 ダイバーシティと人種問題、次世代を切りひらくZ世代、変貌するアメリカ政治が得意分野。 早稲稲田大学政経学部卒業後1991年NYに移住、FMラジオディレクターとしてニュース/エンタメ番組を手がけるかたわら、ロッキンオンなどの音楽誌に寄稿。メアリー・J・ブライジ、マライア・キャリー、ハービー・ハンコックなど大物ミュージシャンをはじめ、インタビューした相手は2000人を超える。現在フリージャーナリストとして、ラジオ、新聞、ウェブ媒体にて、政治、社会、エンタメなどジャンルを自由自在に横断し、一歩踏みこんだ情報を届けている。 2019年、ミレニアルとZ世代が本音で未来を語る座談会プロジェクト「NYフューチャーラボ」を立ち上げ、最先端を走り続けている。 ホームページURL: https://megumedia.com

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