盛夏に気をつけたい紫外線を徹底攻略

紫外線から身を守るには毎日コーヒーを多く飲むと効果的

多く飲むと効果がある
多く飲むと効果がある

 前回は年々強まる紫外線が皮膚や目だけでなく脳にも悪影響を及ぼすことを紹介した。では、紫外線から身を守るにはどうしたらいいのか?

 皮膚を衣服や帽子で覆うのはもちろんだが、食べ物で守る方法もある。愛国女子短期大学の非常勤講師で栄養管理士の古谷彰子氏が言う。

「以前、柑橘系の果実やジュースを頻繁に飲む人は皮膚がんになりやすいと話題になったことありました。その元になったのは、米国の研究です。1週間に2~4回、オレンジやグレープフルーツの果実・ジュースを摂取した人は、1週間に2回未満しか摂らない人に比べて皮膚がんの発症リスクが10%増加。1日平均1.5回以上摂った人だと36%も上昇すると報告されました。根拠は『柑橘系の果物などに多く含まれる光毒性物質のフロクマリンやソラレンが紫外線への感受性を高めて、人の皮膚細胞を傷付けやすくするため』と報告してしまったからです」

 しかし、あまり神経質になって柑橘類を摂取しなくなったりすると、逆にビタミンや栄養素不足で健康を損ってしまう。ビタミンCは肌の再生を助けてくれるため、実は紫外線をたくさん浴びる前である朝に取りたい栄養素。ところが最近の研究では、オレンジ、レモン、ライムなどの柑橘系フルーツでは、その可食部にはソラレン類が含まれていない。あったとしても少量しか含まれず、皮には多量のソラレン類が含まれていることがわかっている。

「たとえば、アロマオイルなどとして市販されているライムの皮から圧搾法で製造したライムオイルを手などに付けて日光を浴びると、日光性皮膚炎の危険性があります。そのため、果肉(可食部)にも多くのソラレン類が含まれると誤解されたものと思われます。これらのフルーツの皮を使った加工品や料理には、ソラレン類に対する注意が必要だと考えられます」

 また、フルーツを皮ごとスライスしたものを肌に乗せるパック、化粧品等の塗布などは、念のために控えた方が安全だという。それでもどうしてもという場合は、夜にそうした成分が入った化粧品を利用するのがいいかもしれない。

「紫外線の感受性を高める成分は、摂取後2~5時間で体が紫外線を吸収しやすい状態になります。つまり、夜にソラレン類が含まれる化粧品を使えば、寝ている間に分解してくれるというわけです。仮に朝にソラレン類を摂ってしまった場合は、紫外線対策をしっかりする必要があります」

 なお、「キウイフルーツには光毒性を持つソラレンが含まれる」「キウイフルーツにはソラレンがたくさん含まれるので朝食べてはダメ」などと話題に上ったこともあるが、その科学的根拠はないという。

「駒沢女子大学の西山先生らがキウイフルーツ果実に含まれるソラレンおよびその関連物質の量を、高速液体クロマトグラフィーにより測定し、報告しています。その結果、ソラレンはもちろんそれに似た物質もほとんど検出されませんでした。ソラレンを何ミリグラム経口摂取すると有害なのかという、はっきりとしたデータはありませんが、仮に多くの人が報告している『ソラレン8~10ミリグラム摂取で有害』だと仮定すると、キウイフルーツを107~133キログラム食べないといけない計算になるそうです。要はほとんど問題ないと考えて良いでしょう」

 コーヒーを飲むことが光老化をストップさせるという説もある。光老化を研究している鈴鹿医科大学薬学部の平本恵一助教が言う。

「コーヒーに多く含まれているポリフェノールという物質自体に抗炎症作用があることは広く知られています。そこでコーヒーの成分に多く含まれるポリフェノールのうち、カフェ酸とクロロゲン酸に絞り、UVBに関してマウス実験を行ったところ、カフェ酸、クロロゲン酸ともに皮膚に塗布した実験では皮膚の炎症を抑えました。しかもカフェ酸はより顕著であり、経口投与でも炎症を抑制したのです。実際にコーヒーとして飲む場合は、成分の含有量にもよりますが、多く飲むと効果があると考えられます」

■サングラスはフレームの形が重要

 紫外線から目を守るにはサングラスが必要だ。どう選ぶべきか。(株)ニコン・エシロール エデュケーション/プロ・サービス本部長兼(株)ニコンメガネ取締役社長の加藤宏太郎氏が言う。

「紫外線をしっかり防ぐにはフレームの形が重要です。顔の形に合わないものを掛けるとズレた隙間から紫外線が入ってきてしまいます。また、度付きのサングラスの場合は眼鏡店でしっかりとフィッティングしてもらう事も大切です」

 サングラスの中には色がついてはいるものの表情が見えるものと、色が濃く表情がわからないものがある。濃い方が紫外線カットに効果がありそうだが、それは無関係だという。

「どちらを選ぶかは好みの問題に過ぎません」(前出の加藤氏)

 なお、コンタクトレンズにはUVカット機能付きのものもあるが、黒目部分に装着するため、白目を守ることはできない。

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