最期は自宅で迎えたい 知っておきたいこと

リビングに介護ベッド設置 家族と過ごす時間が自然に増えた

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 日常生活を送る上での基本的な動作(ADL)のレベルは、歩行時は杖、距離が長くなると車椅子を使い、トイレでは見守り、シャワー浴では介助が必要といったレベル。限られた時間の中、ケアマネさんに急ぎで介護保険の区分変更の認定調査の依頼をお願いしたり、介護ベッドの即日の導入をしたりと慌ただしい環境調整となりました。

 1カ月で旅立たれたのですが、最期は次女も泊まり込み、ご家族に見守られながら息を引き取られたのでした。スムーズに自宅の療養環境が整えられたため、本人の希望の「最期は自宅で」をかなえられた。1カ月間、家族でたくさん話をする時間を持てたのです。

 このように、たとえ自宅で過ごす時間が短かったとしても環境調整は患者さんとご家族にとっては大切な心の整理にもなるのです。

 当院では、「いつでも、どんな状態でも、退院し、家に帰れます」と常に言っています。入院中の方は、今はコロナ禍で家族の面会も思うようにできないでしょう。もし自宅に帰りたい意思があるなら、主治医や病院の退院支援室などにぜひ相談してみてください。

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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