人生に勝つ性教育講座

世界一有名な画家ゴッホの奇行に唱えられる「梅毒説」

(C)TonyBaggett/iStock

 1886年にはパリに移住し、弟と同居しながら本格的に作品を描きます。そして2年後の1888年に画家の組合を作ることを目的に、南仏のアルルでゴーギャンと共同生活を始めます。しかしすぐに不仲になり、わずか2カ月で共同生活は破綻します。直接の原因は前述の「耳切り事件」でした。

 ゴッホの死後、彼の言動や作品を病気によって説明しようとする試みがなされ、いくつかの説があります。ひとつは「双極性障害」です。そう状態とうつ状態があらわれる病気です。ちなみに「世界双極性障害デー」はゴッホの誕生日である3月30日に設定されています。

 「てんかん」説も有力です。精神病院の若い医師や最晩年を送った療養所の病院長が書き残していることが根拠になっています。「統合失調症」説もあります。この病気は主に思春期から青年期にかけて発症し、幻覚や妄想といった精神病症状や意欲・自発性の低下などの機能低下、認知機能低下などを主症状とする精神疾患です。患者の男女比は同じ程度とされますが、男性のほうが重症化しやすいようです。原因はわかっていませんが、脳の神経の発達異常と関わりがあると考えられています。

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尾上泰彦

尾上泰彦

性感染症専門医療機関「プライベートケアクリニック東京」院長。日大医学部卒。医学博士。日本性感染症学会(功労会員)、(財)性の健康医学財団(代議員)、厚生労働省エイズ対策研究事業「性感染症患者のHIV感染と行動のモニタリングに関する研究」共同研究者、川崎STI研究会代表世話人などを務め、日本の性感染症予防・治療を牽引している。著書も多く、近著に「性感染症 プライベートゾーンの怖い医学」(角川新書)がある。

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