人生に勝つ性教育講座

世界一有名な画家ゴッホの奇行に唱えられる「梅毒説」

(C)TonyBaggett/iStock

 そこで浮上したのが「神経梅毒」説です。ゴッホが生きた19世紀のフランスでは、梅毒が猛威をふるう一方で、その恐ろしさが認識されていませんでした。ですから娼館通いする男性も多く、ゴッホもそのひとりでした。しかもゴッホは淋病で入院していた時期もあったことから、なおさらこの説が真実味を帯びるというわけです。

 しかし、彼の奇行が梅毒であるならば、脳に支障が出る前にゴム腫やバラ疹などの皮膚の異常が起きているはずです。ところが、彼は療養所で医師の診察も受けていたはずですが、そのことは確認されていません。ですから、私はこれは「芸術家ならそういうこともあるだろう」的な見方でしかないように思っています。

 ちなみにゴッホは1880年代のパリで流行したジャポニズムの影響を強く受けており、画商が大量に仕入れた浮世絵に関心を寄せ収集し、その画風に影響を受けたと言われています。また、ゴッホが描いた「ひまわり」7枚のうち1枚は日本の損害保険会社が購入し、新宿区内の美術館に保管されています。この「ひまわり」については贋作説が出たことがありましたが、キャンバスの布がゴーギャンと同じものだと鑑定されたことで、本物だと証明されたそうです。

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尾上泰彦

尾上泰彦

性感染症専門医療機関「プライベートケアクリニック東京」院長。日大医学部卒。医学博士。日本性感染症学会(功労会員)、(財)性の健康医学財団(代議員)、厚生労働省エイズ対策研究事業「性感染症患者のHIV感染と行動のモニタリングに関する研究」共同研究者、川崎STI研究会代表世話人などを務め、日本の性感染症予防・治療を牽引している。著書も多く、近著に「性感染症 プライベートゾーンの怖い医学」(角川新書)がある。

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