時間栄養学と旬の食材

朝は「黄」で夜は「青」 パパイアは2種類を食べ分ける

パパイア
パパイア

 カリブ海沿岸での呼び名である「アババイ」がなまったものであるとも言われるパパイア。

 スペインやポルトガルなどの地域では、果実の様子が赤ん坊にお乳を飲ませる母(ママ)の乳房のように見えたため「ママオ」と呼ばれることも。日本では、乳液が多く含まれていることから「乳瓜(ちちうり)」、木になる瓜という意味から「木瓜(もっか)」とも呼ばれています。

 パパイアには実が十分熟した黄色いパパイア、熟す前に収穫した青パパイアがありますが、栄養価が若干異なります。

 まずは黄色いパパイア。果肉が熟すにつれて抗酸化作用の強いカロテンやリコペンの含有量が増加し、特にカロテンは未熟なパパイアの4倍以上! リコペンは呼吸器系細菌の増殖が抑制されるため、喉の痛みやせきなどの予防・改善にも効果が期待できます。他にも、腸内でビフィズス菌などの善玉菌を増やす働きがあるペクチンも豊富。ペクチンが持つ強い粘性で腸内の有害物質を吸着して体外に排せつするという報告もあり、便秘予防に効果的です。リコペンは朝の吸収が良いことがわかっているのでパパイアは朝向きの食材といえるでしょう。

 一方の青パパイアには、活性酸素の過剰発生の抑制に役立つポリフェノールが豊富で、赤ワインのなんと約7.5倍! そして、青パパイアに含まれるパパインをはじめとする酵素は、炭水化物、タンパク質、脂質を消化させやすくするという非常に珍しい作用を持ちます。

 パパイン酵素で加水分解した肉と通常の肉を摂取した場合で比較した実験では、パパイン酵素処理を行った肉を食べるとLDLコレステロールおよびVLDLコレステロール値が低いことがわかっています。胃もたれや動脈硬化などの予防にも役立ちそうです。

 また、パパインには殺菌作用や傷の修復を早める作用があり、傷やヤケドの傷口にパパイアの葉や果実を当てる民間療法があるほど。近年、医学界でも注目されているそうです。

 さらに、青パパイアの乳酸発酵液にはGABAが含まれ、リラックスさせる効果や深部体温の低下がみられた報告から、青パパイアは夜向きの食材だといえるでしょう。 目的に応じて食べ分けるのもいいかもしれませんね。

古谷彰子

古谷彰子

早稲田大学大学院卒。早稲田大学時間栄養学研究所招聘研究員、愛国学園短期大学准教授、アスリートフードマイスター認定講師。「食べる時間を変えれば健康になる 時間栄養学入門」「時間栄養学が明らかにした『食べ方』の法則」(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

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