名医が答える病気と体の悩み

なんともなかった太陽の光がまぶしく感じるのは病気?

眼科医の荒井宏幸氏
眼科医の荒井宏幸氏(提供写真)

 これまで気にも留めなかった光量の日差しや、室内の蛍光灯などの光にまぶしさを覚える状態を「羞明」と呼びます。まぶしさだけでなく、不快感や目の痛みを伴うこともあります。

 原因は4つ考えられます。①目の奥に入ってくる光が多くなる②目の奥に入ってくる光が散乱する③目の奥に入ってくる光に対して網膜の過敏性が上がる④脳腫瘍や髄膜炎などの脳の病気によるものです。

 ①は虹彩の異常で起こります。明るいところでは光の量を減らすために瞳孔が小さくなります。この瞳孔を調節する虹彩と呼ばれる器官に異常があると、光の量をコントロールできずに、目の奥に入る光の量が増えてしまいます。消化性潰瘍や喘息の薬には瞳孔の動きを鈍らせる成分が入っているため、大人になって突然まぶしさを感じるようになった方で、新しく薬を飲み始めたものがあれば、かかりつけ医に尋ねてみましょう。

 ②の光が散乱する原因としては、白内障とドライアイが考えられます。白内障になると、水晶体が濁ることにより光が乱反射して目の奥に入り、まぶしさを感じます。そして、中等度以上のドライアイでも、黒目の表面に細かい傷ができることで光が散乱し、まぶしくなります。

 ③の網膜の過敏性が上がるケースは、先天性の色覚異常を患っている方に多く、また、網膜色素変性症という難病などでも光がまぶしくなることがわかっています。

 最後に④脳の病気の兆候です。脳腫瘍や小さな脳梗塞などでは、視神経から後頭葉視中枢までの視覚路に影響を与えます。異常なまぶしさを覚え、眼科で病気が見つからなかったら、脳神経外科を受診するとよいでしょう。

▽荒井宏幸(あらい・ひろゆき) 1990年防衛医科大学校卒業後、同大学付属病院眼科、93年自衛隊中央病院眼科および国家公務員共済組合三宿病院眼科、96年岡田眼科眼科部長、98年クイーンズアイクリニック院長、99年みなとみらいアイクリニック(旧南青山アイクリニック横浜)・主任執刀医、2010年からは医療法人社団ライト理事長も務める。

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