がんと向き合い生きていく

コロナ禍では検診の“先の検査”も大幅に減っている心配がある

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 M医師はすぐにKさんの患者番号を電子カルテに入力してCT画像を確認し、言われました。

「肺がんかもしれませんね。こちらで診ますから、私の方に患者さんをどうぞ」

 その日にこれからM医師にKさんを診察いただけることになり、私はホッとして自分の診察室に戻り、M医師あてに院内の依頼状を書きました。

 そして、再びKさんを呼んで、まずは肺の問題を解決しなければならないこと、これから呼吸器内科専門のM医師が診てくれること、糖尿病については後日に栄養科での食事指導を受けることなどを説明しました。Kさんからは「がんでしょうか?」と聞かれました。私は「その疑いがあります。そのための詳しい検査をすることになると思います」と答えました。

 M医師が診察した後のKさんのカルテを見ると、気管支鏡検査のため呼吸器内科に入院する予定となっていました。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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