がんと向き合い生きていく

コロナ禍では検診の“先の検査”も大幅に減っている心配がある

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 結局、気管支鏡の組織検査では肺がんの診断で、後日、胸腔鏡手術となりました。幸いがんの大きさは1.2センチ、リンパ節などに転移はなく、ステージ1aで、手術後の抗がん剤治療は必要ないとのことでした。

 今回のKさんの場合は、検査が1年遅れで、本当に幸運にもがんが早期だったのですが、進行していたら取り返しがつかないことになったかもしれません。そうなると治療も大変ですし、費用もかかります。

 この1年半、新型コロナウイルス感染症の流行で、不要・不急の外出を避けるように言われ、検診を受ける方が大幅に減っています。さらに、せっかく検診でチェックされても、その先の検査を受けない方がもっとたくさんいるのではないかと心配になりました。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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