医者も知らない医学の新常識

「サイクリング」は健康寿命を延ばす!? 米内科専門誌で報告

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 糖尿病の患者は動脈硬化が進行しやすく、脳卒中や心筋梗塞といった病気を起こしやすいことが知られています。薬で血糖値を下げることはできても、そうした動脈硬化の病気自体はなかなか減らないのが一番の問題です。

 そんな中で注目されるのが運動の効果です。運動の習慣は脳卒中や心筋梗塞などの病気を予防し、健康寿命を延ばす効果があることが知られています。

 ただし、どのような運動が糖尿病の患者に有効なのか、という点については、これまで明確なことが分かっていませんでした。ジョギングに時々全力疾走を挟むような運動が有効であることは分かっていますが、それを習慣にするのはかなりハードルが高いと思います。

 そこで今、「サイクリング」が注目されています。今年の米国医師会の内科専門誌に、ヨーロッパの研究結果が報告されています。

 約7500人の糖尿病患者を5年間観察したところ、サイクリングの習慣が1週間に2時間半以上あると、ない場合と比較して、総死亡のリスクが30%以上低下していたのです。

 糖尿病に限らず、サイクリングの習慣は健康寿命を延ばす決め手でもあるのかもしれません。

 皆さんもくれぐれも事故には気を付けて、サイクリングを習慣にしてみてください。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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