唐辛子は世界中で最も食べられているといわれる香辛料のひとつです。鷹の爪だけでなく、なんとピーマンやシシトウ、パプリカも唐辛子の仲間で、辛さは栽培環境によって大きく異なります。
そんなバラエティー豊かな唐辛子ですが、今回は、唐辛子と聞いてイメージされるであろう辛味の強い品種(以下、唐辛子)について紹介します。
江戸時代から東京の甲州街道沿いですでに栽培され、蕎麦(そば)の薬味として使われていたといわれる唐辛子は、体内の冷えを取り温める作用や、消化や食欲を増進する作用などがあり、辣椒(ラッショウ)、蕃椒(バンショウ)と呼ばれる生薬としても使われています。
それらの効能の多くを担ってくれる成分がカプサイシンです。興奮すると分泌されるアドレナリンの分泌を促進し、体温が上昇します。また、脂肪分解酵素のリパーゼが活性化されて、脂肪を燃焼したりエネルギー代謝の効率が良くなるため肥満予防効果がありそうですが、直接的なダイエット効果ではなく、有酸素運動との組み合わせで脂肪燃焼効果が上がると報告されています。
時間栄養学の視点から考えると、細胞を用いた実験においてカプサイシンの摂取が体内時計に何か影響を与えることはありませんでした。そのため、いつ食べた方がいいということは今のところ言及できませんが、体内時計を正すためには朝食をしっかり取ることが大切なので、これから暑さが厳しくなる中で食欲が落ちてきた朝、唐辛子による食欲増進を期待してもいいかもしれません。
ただし、過剰摂取は胃腸の炎症を招く原因になるので、食べ過ぎには注意。
辛さの耐性は個人差がありますが、成人のカプサイシン摂取量限界は食品安全委員会の値によると5ミリグラム/キログラム/日なので、体重60キロの方であれば300ミリグラムが限界です。また、カプサイシンの含有量は鷹の爪だと約0.3~0.7ミリグラム/1本、一味唐辛子が約20.7~149.7ミリグラム/100グラムほどですので参考にしてみてください。
辛さが苦手な方は乳製品と組み合わせると、舌上にあるカプサイシンを感知する部分(受容体)をカバーできますよ!
辛いものが好きな方は細かく刻んだ方が、辛さを強く感じやすくなります。
油に溶けやすいので、ラー油やペペロンチーノなどはカプサイシンをより体に吸収しやすい状態で摂取できます。
時間栄養学と旬の食材