あなたを狙う「有毒」動物

なぜ公園でくつろぐ高齢者は蚊に刺されてもかゆく感じないのか

高齢者は痒くない?(C)日刊ゲンダイ

 暑い日が続いています。日暮れ時、近所の公園で夕涼み、といきたいところです。しかし待ってましたとばかりに「蚊」が襲ってきます。虫よけスプレーはむせるから嫌いだし、蚊に刺されるのはもっとイヤなので、とぼとぼと引き返すしかありません。

 ところがベンチに目をやると、元気なお年寄りたちが涼しい顔で、思い思いに寝転んだり雑談したりしています。すでにワクチン接種は終わっていて、コロナの心配が小さくなったのは分かりますが、いくら年寄りだからといって、蚊は手心を加えてはくれないはず。あるいは「老人の血は不味くて喰えない」と敬遠されているのでしょうか。

 しかしそういえば、昔から「年寄りは蚊に刺されても痒くならない」と言われていたのを思い出します。じつはこれ、都市伝説などではなく本当の話です。体質にもよりますが、一般に高齢者の多くは、蚊による痒さをあまり感じなくなっているのです。加齢で神経が鈍っているからとか、そういったことではありません。もっと深い、免疫学的な理由があるのです。

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永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

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