医者も知らない医学の新常識

スマホアプリは腰痛に有効か 米の内科専門誌に論文掲載

写真はイメージ
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 ぎっくり腰は、痛みで動けなくなることもまれではありません。本人にとっては、とても深刻な状態ですが、たいていは病院でレントゲンを撮っても、「特に異常はありません」と言われ、湿布や痛み止めが処方されておしまいです。

 腰痛持ちといわれるような状態になると、毎日痛みが取れることはなく、日々の生活も非常に憂鬱になってしまいます。

 こうした検査をしてもはっきりした原因の見つからない腰の痛みは、生涯に7割の人は経験する、という統計があるほど多い病気です。筋肉の疲労やストレスなどが関係していて、リラクセーションや運動などの生活指導が、薬よりも効果的なことが分かっているのですが、病院は忙しいので、そうした生活指導にあまり時間が割けないのが現実なのです。

 そこで最近注目されているのが、スマホアプリなどを用いた、自己管理の仕組みです。最近ではAI(人工知能)を活用した、高度なシステムが開発されています。

 1日の歩数やストレッチの回数などを、各個人の情報からAIが判定して、それを腕時計のような端末で管理して実行するのです。

 今年の米国医師会の内科の専門誌に、スマホアプリを用いた自己管理法の、腰痛への有効性を検証した論文が発表されています。それによると、通常の治療にこの方法を追加したところ、腰の痛みが軽くなる効果が確認されたのです。腰痛には湿布よりもAI、という時代になるのかも知れません。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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