あなたを狙う「有毒」動物

人も刺すネコノミ 蚊に似た吸血システムで「猫好き」は痒くならない

野良猫にはネコノミが寄生している可能性が高い

 ヒトノミの被害は、戦中から戦後にかけて非常に多かったといいます。当時は「ノミとり粉」という、除虫菊から作った粉末状の薬剤が広く使われていました。除虫菊といえば、蚊取り線香が思い浮かびます。花にピレスロイドと呼ばれる、昆虫の神経を麻痺させる殺虫成分が含まれています。蚊に限らず多くの昆虫に有効で、しかも哺乳類には無害です。いまでも殺虫剤の成分として、化学的に改良されたものが広く使われています。

 しかし当時のノミとり粉は、ピレスロイドの含有量が少なく、あまり効かなかったようです。進駐軍のDDT散布が始まって、ようやくシラミとともに駆除されたのでした。ヒトノミは、今ではほとんど絶滅したと言われるほど見られなくなりました。

 代わって台頭してきたのがネコノミです。名前はネコでも、犬や人の血も吸います。猫に寄生しているノミのほぼ100%がネコノミですし、最近では犬に寄生しているノミも大半がネコノミと言われています。20代の私を悩ませたのも、こいつだったに違いありません。

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永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

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