ヒトノミの被害は、戦中から戦後にかけて非常に多かったといいます。当時は「ノミとり粉」という、除虫菊から作った粉末状の薬剤が広く使われていました。除虫菊といえば、蚊取り線香が思い浮かびます。花にピレスロイドと呼ばれる、昆虫の神経を麻痺させる殺虫成分が含まれています。蚊に限らず多くの昆虫に有効で、しかも哺乳類には無害です。いまでも殺虫剤の成分として、化学的に改良されたものが広く使われています。
しかし当時のノミとり粉は、ピレスロイドの含有量が少なく、あまり効かなかったようです。進駐軍のDDT散布が始まって、ようやくシラミとともに駆除されたのでした。ヒトノミは、今ではほとんど絶滅したと言われるほど見られなくなりました。
代わって台頭してきたのがネコノミです。名前はネコでも、犬や人の血も吸います。猫に寄生しているノミのほぼ100%がネコノミですし、最近では犬に寄生しているノミも大半がネコノミと言われています。20代の私を悩ませたのも、こいつだったに違いありません。
あなたを狙う「有毒」動物