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ワクチン未接種はレストランに入れない…見えてきたアメリカの「ニューノーマル」

フランスのレストラン・バーではすでに始まっている
フランスのレストラン・バーではすでに始まっている(C)ロイター

 アメリカでは目標より1カ月遅れて、ついに一度でもワクチンを接種した成人が7割を超えました。一方で新規感染者が再び1日10万人に迫り(8月5日現在)、その9割以上がデルタ株とされています。ワクチン接種が遅れる南部の州を中心に急拡大し医療が逼迫する一方で、北部のニューヨーク州などではワクチン接種が進み、9月の新入学シーズンに向けての「ニューノーマル」が姿を現し始めています。

 そしてそのカギとなるのもやはりワクチンです。新学期を迎えるニューヨーク市の公立校では、12歳以上の生徒に対し、対面授業に出るためのワクチン接種を義務付けています。新学期に間に合わせるためには、1回目の接種を8月7日までに必ず済ませるようにという呼びかけがされていました。

 またアメリカの9月といえば多くのイベントが開催されることでも知られていますが、特に切望されているのがブロードウェーの再開です。2020年3月以来1年半、幕を下ろしていた劇場が9月に一斉オープン。観客はワクチン接種または陰性証明が必須となります。

 しかし、こうしたプランがデルタ株のためにすでに変更を余儀なくされています。

 特に市民を驚かせたのは、ニューヨークのデブラシオ市長がバー、レストラン、スポーツジム、イベントも含め屋内施設を利用するすべての人に、今月16日以降ワクチン接種を義務付けると発表したことです。

 早くもこの影響を受けたのが、ニューヨークで毎年行われる全米最大のオートショーで、春から8月下旬に延期されていたのがキャンセルになりました。全米から集まるすべての参加者にワクチンを義務付けるのは不可能と考えたからでしょう。

 今後も変異株の影響に関しては予断を許しませんが、いずれにせよニューヨークの秋は、特に屋内では何をするにもワクチン証明が必要になるのは間違いなさそうです。

シェリー めぐみ

シェリー めぐみ

NYハーレムから、激動のアメリカをレポートするジャーナリスト。 ダイバーシティと人種問題、次世代を切りひらくZ世代、変貌するアメリカ政治が得意分野。 早稲稲田大学政経学部卒業後1991年NYに移住、FMラジオディレクターとしてニュース/エンタメ番組を手がけるかたわら、ロッキンオンなどの音楽誌に寄稿。メアリー・J・ブライジ、マライア・キャリー、ハービー・ハンコックなど大物ミュージシャンをはじめ、インタビューした相手は2000人を超える。現在フリージャーナリストとして、ラジオ、新聞、ウェブ媒体にて、政治、社会、エンタメなどジャンルを自由自在に横断し、一歩踏みこんだ情報を届けている。 2019年、ミレニアルとZ世代が本音で未来を語る座談会プロジェクト「NYフューチャーラボ」を立ち上げ、最先端を走り続けている。 ホームページURL: https://megumedia.com

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