独白 愉快な“病人”たち

「今なら助かりますよね?」と無意識に…桑野信義さん直腸がん手術を振り返る

桑野信義さん(C)日刊ゲンダイ

 そして4回目が終わったとき、がんが小さくなっていることと転移が広がっていないことが分かったので、いったん手術となったのです。

 手術は「ダビンチ」(低侵襲内視鏡ロボット支援手術)で14時間かかりました。

 気づいたら集中治療室で管だらけ。それより気になったのはストーマの位置でした。手術前、医師からこう言われていたのです。

「この手術が終わってストーマが左側についていたら一生もの。右側なら仮設です。手術してみなければ、どちらになるか分かりません」

 だから目覚めてすぐ看護師さんに聞いて、仮設だとわかったときには安堵しました。

 入院中はコロナ禍でお見舞いの人もいないので、看護師さんと話すことが楽しみでした。ストーマ外来の若い女性の先生がストーマのカタログを持ってきてくれて、「どれがいいですか?」「これがいいかな」なんて言っている時間は、まるでデート気分でしたよ(笑い)。

3 / 6 ページ

関連記事