ワクチン接種後の死亡事例は本当に「まれなケース」なのか? 7/17~7/30で170件

ワクチン接種との関連は?
ワクチン接種との関連は?(代表撮影)

 厚労省は4日、新型コロナワクチンの副反応を検討する専門家の合同部会で、新型コロナワクチン接種後に死亡が報告された事例が7月30日までに919事例に上ったことを明らかにした。7月21日開催の前回部会では7月16日までに751件と報告していたから7月17~30日の死亡事例報告数は168件増えた計算になる。

 ただし、8月4日までの調査で前回報告の751件の死亡事例のうち2件が取り下げられていたため、実際の死亡事例報告数は170件となる。

 この170件はワクチン接種と関連はないのか。専門家の合同部会も現時点ではその多くをわからないとしている。

 そもそも今の医学で新型コロナワクチン接種と接種後の死亡の因果関係を科学的に証明できるのか、できても過去の事例のように長い年月がかかり、多くの被害者が泣き寝入りするのではないのか、疑問が残る。

 はっきりしているのは、報告された170件は予防接種法や薬機法に基づき死を看取った医療関係者が報告の必要性を感じた件数だということだ。しかも7月17~30日のワクチン接種後の死亡報告事例170件は、同じ期間内に厚労省が報道発表資料で報告した新型コロナ感染後の死亡事例157人よりも多い。

 むろん、この170件はあくまでも7月17~30日に新たに報告されたワクチン接種後の死亡事例数であって、その期間内の死亡事例数ではない。

 では、期間内のワクチン接種後の死亡事例数はどうか?

 実際に、専門部会に提出された資料から死亡事例を数えると、少なくとも41件見つかった。

 注意したいのはこの41件はあくまでも途中経過の数字であることだ。7月17~30日にワクチン接種後に亡くなった事例報告は今後遅れて集計される可能性がある。そこで、その2週間前である7月3~16日での比較をしてみた。

 するとワクチン接種後に亡くなった事例数は少なくとも142件で、その間の全国での新型コロナ感染後死亡事例数は212人だった。

 さらに2週間前はどうか? 6月19日~7月2日でワクチン接種後死亡報告事例は少なくとも201件で、その間に全国で感染後に死亡した人の数は482人だった。

 政府はワクチン接種後に亡くなる事例は「ごくまれなケース」と言う。ならば、感染で死亡した人はどうなのか?

■接種対象者の選定や接種後の過ごし方指導に問題はないのか

 ワクチン接種後の死亡理由は4つのタイプが考えられる。

①ワクチンに問題がある。

②ワクチンだけでなく接種対象や接種後の過ごし方等に問題がある。

③ワクチンに問題ないが接種対象や接種後の過ごし方等に問題がある。

④ワクチンも接種対象も接種後の過ごし方等にも問題なく偶然の死亡。

 政府は④を主張しているように見える。

 しかし、これだけの死亡事例数が報告され、しかも接種後の死亡報告事例の7割が接種1週間以内に集中している。一般の人が①~③へ懸念を持っても不思議はないのではないか。

 実際、7月17~30日でワクチン接種後の死亡事例として報告された170件の中には寝たきりの102歳の事例が含まれるなど、接種対象として適切だったのか、疑問が残るケースもある。「状態悪化」も50例以上みられ、体調が思わしくないまま接種して不幸な結果を生んだケースがあるかもしれない。

 また、ワクチン接種後死亡事例では高血圧の薬の服用者が多く、死因も高血圧が発症リスクとされる「脳出血」「脳梗塞」「くも膜下出血」「大動脈解離」などが目立つ。

 ワクチン接種で助かる大勢の命があるのだから、ある一定期間を切り取り、ワクチン接種後の死亡事例報告数と感染後の死亡事例報告数を単純比較することに意味があるのか、という意見もあるだろう。とはいえ、現場の医療関係者が報告すべきと考えた件数が1000件に迫ってもなお、「ワクチンは積極的により多くの人が打つべき」と主張するのであれば、ワクチン接種でどれだけの命が助かっており、ワクチン接種がいかに安全であるか、などを科学的根拠を明示しながら今まで以上にわかりやすく説明する必要があるのではないか。

 政府は2月17日以降、1億回以上接種し、そのデータを集積している。少なくともどのような人はワクチン接種のリスクがあるか、示せるはずだ。

 今後は仕事を持つ現役世代が接種の中心になる以上、接種後1週間~10日間は激しい運動を避けて安静にしておくべきとか、高血圧で緊張を強いられる人(ドライバーら)はとくに注意すべきなど、より具体的アドバイスをすべきではないか。

関連記事