Dr.中川 がんサバイバーの知恵

コロナ禍でのがん治療の遅れを回避するため医師に聞くべきこと

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 その影響がどうなって表れるか。コロナ前に比べて、進行がんが見つかる人やがんで亡くなる人が増えるのは、間違いないでしょう。

 コロナによる死者数は昨年1年で3500人ほどですが、1年間にがんと診断される人は100万人を超え、死亡は約38万人。がんの死亡数は、コロナの死者数の100倍以上です。

 コロナによる死亡は80歳以上が63%ですが、働く人の死因は半数ががん。病死に限ると、9割ががんです。コロナ対策をしつつも、現役世代の命を守る上で、がん対策は絶対に欠かせません。

 その状況で、入院や手術の延期を提案されたらどうするか。主治医に「私の病状は、コロナ前でも治療を先送りしましたか?」「治療が遅れると、死亡率が上がりますか?」と併せて聞いて、「上がります。しかし、コロナ対応で延期せざるを得ません」という答えなら、セカンドオピニオンを受けるか、病院を変更する選択も大いにアリだと思います。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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