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「蜂窩織炎」は症状が落ち着くまで安静第一 歩くのも極力控える

仕事もできればデスクワークに
仕事もできればデスクワークに(C)日刊ゲンダイ

 細菌感染症のひとつである蜂窩織炎は、夏に発症しやすくなります。

 主に足やすねといった下肢の部分が赤く膨れて熱を持ち、痛みを伴います。発熱、悪寒、倦怠感、関節痛などの症状が出ることもあります。糖尿病、肥満、アトピー性皮膚炎、水虫がある方、また高齢者によく見られます。

 原因は、ブドウ球菌やレンサ球菌が多いとされています。これらの細菌が、免疫力が低下しているときや皮膚が弱っているときなど、皮膚の表面から侵入して感染します。一度皮膚の組織が破壊されると再発しやすく、再発を繰り返しているうちに皮下脂肪の炎症が止まらなくなることもあります。

 軽症であれば、1週間程度の抗菌薬の飲み薬で治療できますが、重症になると入院し、抗菌薬の点滴治療が必要となります。

 一点、治療法について注意を促したいことがあります。「フロモックス(一般名セフカペン ピボキシル塩酸塩水和物)」という抗菌薬を飲み薬で処方する場合が多いです。この薬剤は第3世代セフェムという系統に属するのですが、腸からの吸収が悪いという特徴があります。点滴だとよく効くのですが内服だと効きが悪くなりがちです。

 従って、内服では蜂窩織炎には効きづらいかもしれません。まったく効かないわけではないのですが、効果が悪い場合は主治医の先生と薬剤の変更を相談してみてください。

 蜂窩織炎は、症状が落ち着くまでは安静第一。足に症状がある間は、重力をかけることはNG。走ったり運動したりするのはもっての外で、歩くのも極力控えなければなりません。

 ところが働き盛りの人など、蜂窩織炎にかかっても安静にしていられず、急に動き始める人がいます。私の患者さんにも、退院翌日から営業の仕事に戻り、3日後に再発して病院に戻ってきた人がいました。すぐに仕事に復帰し、なかなか完治できない人もいます。

 特に糖尿病など免疫力が低下している方は悪化しやすいです。ひどい場合は筋肉が壊死してしまう壊死性筋膜炎に至ることもあります。ここに至ると手術が必要となり、長期間の入院が余儀なくされますし、最悪の場合足を失うことになることもあります。

 蜂窩織炎になったら、「休みなさい」という体のサインと考え、横になってテレビを見たり、本を読んだり、ゆっくり休む。一定期間はしっかりと治療に専念し、仕事への復帰は完全に治ってからにしたほうがよいでしょう。

 また、蜂窩織炎にならないためには糖尿病や肥満など元の病気を治すことも重要です。もちろん水虫もきちんと治しましょう。

葉山惟大

葉山惟大

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