医者も知らない医学の新常識

女性ホルモンが多い男性は血栓症のリスクが低い 専門誌が報告

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 男性は精巣から男性ホルモンが分泌され、女性は卵巣から女性ホルモンが分泌されます。しかし、男性でも産生された男性ホルモンの一部は、女性ホルモンに変換されているので、男性も常に少量の女性ホルモンを分泌しています。

 男性では加齢により男性ホルモンが低下し、それが筋肉量の低下やうつ病などの原因になっている、という考え方があります。確かに男性ホルモンは年齢とともに低下しますが、一部の変換された女性ホルモンがそれを補う働きを持っている、という考え方があります。実は閉経後の女性よりも多くの女性ホルモンを、男性は高齢になっても作っているのです。

 それでは、男性にとって女性ホルモンが多いことは、健康面でどのような影響を持っているのでしょうか?

 今年の内分泌(ホルモン)学の専門誌に、それについての研究結果が報告されています。遺伝子の変異からホルモンの出方を解析したところ、男性では女性ホルモンが多いほど、血液に血の塊ができる、血栓症のリスクが少なく、脳卒中のような病気も起こりにくくなっていたのです。

 血液中の男性ホルモンが低いと男性更年期だ、というような説明がよくされますが、実は女性ホルモンと男性ホルモンとのバランスこそが、より重要であるのかも知れません。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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