最期は自宅で迎えたい 知っておきたいこと

ステーキとワインで家族と忘年会…在宅だからできたこと

写真はイメージ(C)PIXTA

 将来の自分の死に場所はどこですか?

 こう問われたら、みなさんはなんと答えるでしょうか。恐らく病院と答える方が多いのでは。実際に現在、亡くなられる方の約8割が病院で看取られています。しかし、1950年代以前は、逆に自宅で看取られる方が8割でした。昔はみんな自宅で亡くなっていたのです。

 特に年配の方なら、自分が幼少の頃に自宅でおばあちゃんやおじいちゃんを看取った経験をお持ちの方が多いはずです。

 それが70年代を境に日本の看取りの現場が、自宅から病室へと変わっていきました。人の死が日常生活から抜け落ち、命の儚さや大切さを自宅で学べるせっかくの機会を失ってしまったのです。

 そしていつしか看取りは病院でという常識が定着していきました。日頃から自分や家族の終末期について考えることなく、在宅医療の知識もなければ、自宅で最期を迎えるのは難しいと感じるのも無理はありません。好むと好まざるとにかかわらず選択肢は病院だけとなるわけです。 

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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