独白 愉快な“病人”たち

肺がんで余命宣告され…俳優・御木裕さんが克服までを語る「目が覚めたら医者が3人深刻な顔を」

御木裕さん(C)日刊ゲンダイ

 3日間だけ猶予をもらって、その間に撮影を1つ済ませ、後は祈祷師のところに連れて行かれたりした。こう見えてPL教団創始者の孫だから、僕の周りは僧侶や宗教家だらけ。いざ入院となったときは、病院のカンファレンスルームにPL関係や弟の人道教団の連中が30人ぐらい集まって、僕に抗がん剤を「打たせる」vs「打たせない」で大ゲンカ。主治医にまで「自分の家族にも同じ状況で抗がん剤を使うのか!」と突っかかっていた。言われた主治医も、負けじと「使いますよ! 根治はしないけど、僕は責任をもって御木さんの寿命を延ばしたいんだ!」と言い切った。僕はそれを見て「カッコいいなコイツ」と思って、任せることにしたんだ。

 後日、腹部に転移も見つかって、治療は抗がん剤と放射線を並行して行った。抗がん剤は「シスプラチン」など3種類。それを5クール続けた。一時は“ツルッパゲ”になったけど、副作用でつらかったことはひとつもなくて、嘔吐も一度もなかった。その病院には放射線設備がなかったので、毎回タクシーで設備のある別の病院を往復しながら5カ月間ほど入院したかな。

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