名医が答える病気と体の悩み

爪の色が黄色や茶色になるのはなぜか 病気の可能性はある?

形成外科の松澤宗範氏(提供写真)

 爪の色が変化する原因として考えられるのは、爪甲の下の爪床の血流異常や出血、爪甲の質の変化や肥厚、爪甲のメラニン色素の増減、ネイルといった外部からの爪甲の着色、酸やアルカリ、有機溶剤などの化学物質による影響があります。

 また、爪が変色・変形する元の原因としては、大きく①全身性疾患に伴うもの、②局所的な皮膚疾患に伴うものに分けられます。①は心肺疾患、肝臓病、腎臓病、副腎機能不全、糖尿病といった病気が考えられます。または抗腫瘍薬、抗HIV薬、関節リウマチに使用されるブシラミン、抗菌薬のミノサイクリン塩酸塩といった薬の影響で変色するケースもあり、いずれも指1本ではなく全体に変色が見られます。

 ②は一部の爪にのみ変色を認め、黒色、黄色(茶色)、緑色、白色に分けられます。黒色の爪は一番多いのが爪下出血によるもの。線状出血は、オスラー病や感染性心内膜炎で生じることもあるので注意が必要です。次にいわゆるホクロである色素細胞母斑や局所刺激や薬剤による影響でメラニンが増加するメラノーシスです。爪外の皮膚まで黒色病変が及んでいる場合は、悪性黒色腫の可能性が高いといえます。黄色や茶色の爪は栄養障害、感染症、柑皮症、黄疸によって認められます。緑色の爪は緑膿菌感染が疑われます。

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