■後遺症は左半身に薄く残っている
ただ、左手は今でも完璧ではありません。
周囲の人にはわからなくても自分ではわかるのです。左手は右手の倍ぐらい動きがぎこちない。ピアニストとしては致命的なことで、当初は「まいったな」と思いました。
ショックでしたよ。退院してピアノを弾いてみると、弾けないものがいっぱいありました。たとえば、両手で同じテンポで同じフレーズを弾くユニゾンという奏法があるのですが、どうしても正確性が保てない。昔のようにピッタリ同じには弾けないのです。
翌年にはゴダイゴ再結成ツアーを控えていたので、リハビリのためにあえて左手を多く使う曲を練習しました。「不安」というよりも、「一生懸命」だったような気がします。
ツアー中はつらかったです。左手の動きが悪いことは自分が一番よく分かりますからね。でも、ステージに立つと不思議なもので、思ったよりも弾けたんです(笑い)。
独白 愉快な“病人”たち