独白 愉快な“病人”たち

ミッキー吉野さん 糖尿病が悪化し狭心症、脳梗塞と…医師の“脅し”に助けられた

ミッキー吉野さん

■後遺症は左半身に薄く残っている

 ただ、左手は今でも完璧ではありません。

 周囲の人にはわからなくても自分ではわかるのです。左手は右手の倍ぐらい動きがぎこちない。ピアニストとしては致命的なことで、当初は「まいったな」と思いました。

 ショックでしたよ。退院してピアノを弾いてみると、弾けないものがいっぱいありました。たとえば、両手で同じテンポで同じフレーズを弾くユニゾンという奏法があるのですが、どうしても正確性が保てない。昔のようにピッタリ同じには弾けないのです。

 翌年にはゴダイゴ再結成ツアーを控えていたので、リハビリのためにあえて左手を多く使う曲を練習しました。「不安」というよりも、「一生懸命」だったような気がします。

 ツアー中はつらかったです。左手の動きが悪いことは自分が一番よく分かりますからね。でも、ステージに立つと不思議なもので、思ったよりも弾けたんです(笑い)。

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