運動不足は健康に良くないイメージがあります。実際、座ったままの姿勢で過ごす時間が長い人では、心臓病のリスクが高いという報告もあります。とはいえ、新型コロナウイルスの感染が急拡大する中、リモートワークの普及や外出の自粛によって、座ったままの姿勢(座位)で過ごす時間が増えた方も多いでしょう。感染リスクに配慮しながらも、余暇の時間には適度な運動をしたいところです。そんな中、座位時間と健康リスクについて、余暇の運動量も考慮して解析した研究論文が米国心臓病協会誌に2021年7月6日付で掲載されました。
この研究では日本に在住している35~69歳の6万4456人(男性45%)が対象となりました。1日の座位時間について5時間未満、5~7時間未満、7~9時間未満、9時間以上の4つの集団に分け、死亡のリスクが比較されています。なお、結果に影響し得る年齢、性別、飲酒・喫煙習慣などの因子について統計的に補正して解析されました。
平均で7.7年間にわたる追跡調査の結果、死亡リスクは1日の座位時間が5時間未満と比べて、7~9時間未満で20%、9時間以上で54%、統計的にも有意に増加しました。特に高血圧や糖尿病、脂質異常症の人ではリスクが増加していました。
また、死亡リスクの増加は、余暇時間の運動量が多い人ほど減少する傾向にありましたが、運動量が最も多い集団でも、座位時間が2時間増えるごとに死亡リスクが13%増加しました。
座位時間が長いことによる死亡リスクの増加は、余暇時間に運動を積極的に行ったとしても、十分には抑制されない可能性が示されています。座位姿勢をこまめに中断しながら、適度に体を動かすことが大切かもしれません。
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