時間栄養学と旬の食材

しらすは夜に食べるとカルシウムを効率的に摂取できる

しらす
しらす

 しらすとは特定の魚ではなく、主にカタクチイワシやマイワシなどの稚魚のこと。関東では「小さいもの」ほど口当たりが良く、あっさりとして食べやすいという理由から高級品として扱われています。ちょうどこの時期に旬を迎え、1~3センチくらいまでを「しらす」、それを超えると少しずつ銀色っぽくなり「ちいか」や「かえり」と呼び名が変わるそうです。5センチで大人のイワシと同じような色になり「イワシ」として流通します。

 脂質が少なくあっさりとした味わいなので、大変食べやすい食材です。足が早いため、スーパーなどで出回っているものは、水揚げした後すぐにゆでたしらすや乾燥させたしらすが多いのではないでしょうか。

 この加工方法の違いによってエネルギーも変わり、100グラム当たり、生しらす76キロカロリー、釜揚げしらす90キロカロリー、微乾燥しらす(しらす干し)124キロカロリー、半乾燥しらす(ちりめんじゃこ)206キロカロリーとなっています。エネルギーが高くなるのは水分の違いです。

 ほかにも、注目したい栄養素が含まれています。まずは骨や歯の形成を促進するカルシウムです。生しらす72.8グラム(およそ1皿)当たり、カルシウムの含有は約36.31ミリグラムです。

 半乾燥しらすの場合、同量当たり約378ミリグラムのカルシウムを含み、その量は生しらすの約10倍にもなります。

 ただ、実は72.8グラムというのはかなりの量です。一般的に大さじ1杯のしらす干しが4グラム程度。献立にもよりますが、大さじ2杯程度のレシピが多い印象ですので、カルシウム摂取量としては同量、もしくは少し多く取れる程度に考えておくとよいかもしれません。

 そして、カルシウムとともに摂取することで、骨や歯をより丈夫にすることが期待できるビタミンDは、生しらす100グラム当たり6.7マイクログラム、半乾燥しらすには同61マイクログラムが含まれています。

 時間栄養学の観点から考えると、カルシウムの吸収は夜に高まります。また、ビタミンDは日光を浴びても体内で合成できるので、体内で生成したビタミンDと合わせて夜にしらすを摂取することで、より効果的にカルシウムを取り入れることができるのではないでしょうか。

 ぜひ、試してみてください。

古谷彰子

古谷彰子

早稲田大学大学院卒。早稲田大学時間栄養学研究所招聘研究員、愛国学園短期大学准教授、アスリートフードマイスター認定講師。「食べる時間を変えれば健康になる 時間栄養学入門」「時間栄養学が明らかにした『食べ方』の法則」(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

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