新型コロナワクチンの疑問に答える

2回を超えるワクチン接種に問題はないのか 人体への影響は?

12~18歳の子どもを対象に行われたワクチン接種を受ける男子生徒.
12~18歳の子どもを対象に行われたワクチン接種を受ける男子生徒.(C)共同通信社

 世界では3回目のワクチン接種が始まっている。ブースターは効果があるといわれるが、国内には医療従事者枠と自治体枠を使って半年間で4回も接種した人もいるという。短期間に繰り返し打っても人体に影響はないのか。

【Q】2回を超えるワクチン接種に問題ないのか

【A】「3、4回接種した例の副反応は報告されていませんし、体調に大きな影響はないと思われますが、そもそも打つ必要はありません。最初に接種してから1カ月前後で2回目を打つと抗体価が上がることは分かっています。その上がった数値は3、4カ月たつと下がってくるといわれており、8カ月後ぐらいに3回目を打てば、2回目よりも3~4倍、抗体価が上がると考えられます。検証できているのはそこまでで、短期間にそれ以上打ったところで、プラスアルファの効果があったという報告はありません。インフルエンザの場合も、効果を踏まえて年1回の予防接種となっているのです」

【Q】デルタ株の拡大で子供の感染が急増している。米国でも秋以降は12歳未満の接種が可能だ。子供のワクチンの副反応はどのようなものか。大人との違いは?

【A】「米国の報告では、大人も子供も副反応の頻度、重症度などに差はないとされています。それなのに子供の接種が遅かったのは、当初流行したアルファ株などのウイルスに感染する例があまりなかったためでしょう。しかし、デルタ株が主流になって子供にも感染が広がった。それで打った方がいいという見解が形成されていくのですが、安全だという臨床データがあまりなかったので、インフルエンザなど他のワクチン実績で副反応を想定できる12歳以上を対象にしていたのです」

【Q】ワクチン接種後も感染するブレークスルーが増えているが、本当に普通の暮らしに戻れるのか

【A】「一般的な呼吸器感染などで集団免疫を獲得するには7割以上の人が抗体を持つ必要があると考えられていますが、新型コロナウイルスでは日々状況が変わっています。半年ほど前、バイデン政権の首席医療顧問であるファウチ博士らは、国民の8、9割以上が抗体を持たないと種々の変異型に対するコロナには効果が完全ではない、と報告しています」

【Q】ブレークスルー感染を起こしやすいタイプはあるのか

【A】「高齢者や糖尿病、ステロイドホルモン治療を行っている人は体内の免疫反応が低下しているため、ワクチンを打っても十分な免疫反応が獲得できず、デルタ株などの強い病原性を持つウイルスに感染するケースが見られます。これらの疾患がある人は、一度、抗体価を調べておいてもいいでしょう」
 免疫がついていなければ主治医に相談すべきだ。

奥田研爾

奥田研爾

1971年横浜市立大学医学部を卒業後、米国ワシントン大学遺伝学教室、ハーバード大学医学部助教授、デューク大客員教授、スイスのバーゼル免疫研究所客員研究員として勤務。2001年横浜市立大学副学長、10年から名誉教授。12年にはワクチン研究所を併設した奥田内科院長。元日本エイズ学会理事など。著書に「この『感染症』が人類を滅ぼす」(幻冬舎)、「感染症専門医が教える新型コロナウイルス終息へのシナリオ」(主婦の友社)、「ワクチン接種の不安が消える コロナワクチン114の疑問にすべて答えます」(発行:日刊現代/発売:講談社)のほか、新刊「コロナ禍は序章に過ぎない!新パンデミックは必ず人類を襲う」(発行:日刊現代/発売:講談社)が8月に発売される。

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