進化する糖尿病治療法

早期の腎臓病をチェックするには「eGFR」と「尿アルブミン」

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 糖尿病の合併症のひとつに、腎臓病(糖尿病性腎症)があります。体の余分な水分や老廃物を尿として体の外に排泄する機能が弱まり、進行すると人工透析となります。全透析患者のうち4割超が糖尿病性腎症が原因といわれており、また人工透析患者の余命は一般人の約半分程度という報告もあります(日本透析医学会、2005年発表)。

 今は良い薬も出ているので、糖尿病性腎症であっても、早い段階で発見し治療を開始すれば、人工透析にならずに済みます。ところが実際は、進行してから見つかるケースが多いのです。

 その一因は、血糖コントロールには力を入れているが、腎臓のチェックが後回しになりがちなことが挙げられます。糖尿病患者が多すぎる一方で、糖尿病専門医の数は十分ではありません。時に糖尿病専門医であっても、腎臓病の治療は専門外のため、そう詳しくない、あるいは忙しく検査が十分でない結果になってしまっていることもあります。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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