まだ確かな診断がついていないのに、帰宅した奥さんは「よりによってこんなコロナ禍のさなかに……」とふさぎ込み、夕食も取らずに寝込んでしまったそうです。
友人は「あんなにショックを受けるなら、しかもこんな猛暑の中、病院に行かせるのではなかった」と言います。さらに、これから何回か検査に行かなければならないとのことでした。
私は、もしもがんであれば早く見つかったほうがよいこと、コロナや熱中症に気をつけて頑張って奥さんをサポートしてほしいと友人に話しました。
電話を終えた後、奥さんががっくりされていることを考えながら、ずいぶん昔の出来事を思い出しました。本人とは面識がなかったのですが、がんを患っていて自死された方の葬儀に出席した時のことです。
亡くなった方の母親は、我が子の棺にしがみつきながら、「私がついていたのに!」と泣き叫び続けていました。献花をする出席者もみんな泣いていました。本人もかわいそうでしたが、あの母親はその後どう生きられたのだろうか……とても心配でした。
がんと向き合い生きていく